
「糖尿病でむくみが起こる原因を知りたい」
「糖尿病によるむくみと受診が必要な症状の見分け方を知りたい」
糖尿病を患っている方で足のむくみが気になる方のなかには、上記のような不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
糖尿病によるむくみは、糖尿病そのものが直接引き起こすというより、糖尿病性腎症などの合併症や心臓・血管の異常、血流の低下などが関係して起こる場合があります。
本記事では、糖尿病でむくむ原因や腎臓との関係を解説します。
医療機関を受診すべきタイミングも紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
糖尿病の人はむくむ?
糖尿病の方では、糖尿病性腎症などの合併症によって、足や顔などにむくみが生じることがあります。糖尿病で高血糖が長く続くと腎臓の血管が傷つき、腎機能が低下することで、体内の余分な水分を十分に排出できなくなるのが、むくみやすくなる原因です。
ただし、むくみは糖尿病だけでなく、心臓や肝臓の病気、血流の悪化などでも起こります。むくみが続く場合や急に強くなった場合は、原因を確認するため早めに医療機関を受診しましょう。
糖尿病におけるむくみの症状

以下では、糖尿病にともなって起こり得るむくみの症状を解説します。
- 両足の甲や足首が左右対称に腫れる
- 靴下のゴム跡や靴のきつさが戻らない
- 尿の泡立ちや排尿量の減少をともなう
- 短期間で急激に体重が増加する
- 下肢全体の重だるさや痺れを感じる
- 顔や手などの全身へむくみが広がる
- 手足の張りや動かしにくさを感じる
ひとつずつ見ていきましょう。
両足の甲や足首が左右対称に腫れる
糖尿病性腎症で体内に水分がたまると、両足の甲や足首が左右対称に腫れることがあります。立ちっぱなしでも足はむくみますが、休んでも改善しない、徐々に腫れが強くなるといった場合は注意が必要です。
むくみが続く場合や症状が急に悪化した場合は、自己判断せず医療機関で原因を確認してもらいましょう。
靴下のゴム跡や靴のきつさが戻らない
むくみがあると、足首やふくらはぎに靴下のゴム跡が残りやすくなります。また、これまで問題なく履けていた靴がきつく感じることも。
朝より夕方に足が太くなる場合もありますが、むくみが長く続く場合は原因を調べることが大切です。
尿の泡立ちや排尿量の減少をともなう
糖尿病性腎症によるむくみは、尿が泡立つ症状と合わせて起こる場合があります。尿の泡立ちは、尿中にタンパク質が漏れ出ているサイン(蛋白尿)としてみられるのが特徴です。
ただし、排尿の勢いや尿の濃さなどが原因で泡立つこともあるため、気になる症状がある場合は医療機関で検査を受けましょう。
短期間で急激に体重が増加する
短期間で体重が急に増えた場合、脂肪が増えたのではなく、体内に水分がたまっている場合があります。糖尿病の人は、糖尿病性腎症で腎機能が低下すると、余分な水分を排出しにくくなり、むくみとともに体重が増加することがあります。
とくに、数日から短期間で体重が増え、足や顔などにむくみがみられる場合は注意が必要です。糖尿病の合併症やほかの病気が隠れている可能性もあるため、放置せず医療機関で原因を確認しましょう。
下肢全体の重だるさや痺れを感じる
足のむくみが強くなると、下肢全体に重だるさを感じることがあります。糖尿病では神経障害によって手足の痺れや感覚の低下が起こる場合もあり、これが下肢全体のだるさを招く場合があります。
むくみと痺れが同時にみられる場合は、糖尿病の状態や合併症について確認してもらいましょう。
顔や手などの全身へむくみが広がる
腎機能の低下によって体内の水分バランスが崩れると、足だけでなく顔や手などにもむくみが広がることがあります。朝起きたときにまぶたや顔が腫れている、指輪がきつくなったなどの変化も注意すべきサインです。
糖尿病の人でこうした全身のむくみがみられる場合は、糖尿病性腎症をはじめとする合併症が関係している場合もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
手足の張りや動かしにくさを感じる
むくみが強い場合、手足が張ったように感じたり、動かしにくく感じたりすることがあります。
ただし、糖尿病では神経障害や関節の異常など、別の原因で手足の動かしにくさが起こる場合もあります。症状が続く場合や悪化している場合は、糖尿病の治療を受けている医療機関に相談しましょう。
糖尿病でむくむ原因
糖尿病によるむくみは、腎機能の低下や血流障害、薬の副作用などが原因で発生します。とくに足や顔のむくみが続く場合は、早めに医療機関へ相談するのが大切です。
ここでは、糖尿病でむくみが起こる主な原因を解説します。
- 糖尿病性腎症の進行で水分や塩分が排出されない
- 神経障害や血流障害で下肢の循環が滞る
- 糖尿病治療薬の副作用で水分が溜まりやすくなる
- 合併症で全身の循環機能が低下する
ひとつずつ見ていきましょう。
糖尿病性腎症の進行で水分や塩分が排出されない
糖尿病性腎症が進行すると、余分な水分や塩分を十分に排出できなくなりむくみやすくなります。
腎臓には血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する働きがあります。しかし、長期間の高血糖によって腎臓機能が低下すると、水分や塩分が体内に蓄積しやすくなるのです。
また、腎臓機能の低下により尿中にたんぱく質が漏れ出ると、血管内の水分を保つたんぱく質が血管外に漏れ出て、水分が組織へ移動しやすくなるのも糖尿病性腎症でむくみやすくなる原因のひとつです。
神経障害や血流障害で下肢の循環が滞る
糖尿病による神経障害や血流障害も、むくみの原因になります。高血糖の状態が続くと血管が傷つき、足先の末梢血管の血流が悪化しやすいです。また、自律神経の働きが低下すると血液やリンパ液の循環機能にも影響を与えます。
糖尿病による血流障害や神経障害によって足の循環が悪化すると、足の重だるさや違和感につながる場合があります。とくに長時間座ったままや立ちっぱなしの方は症状が目立ちやすいため注意が必要です。
糖尿病治療薬の副作用で水分が溜まりやすくなる
糖尿病治療薬のなかには、副作用でむくみを引き起こすものがあります。代表的なものとしてチアゾリジン薬があり、インスリンの働きを改善する一方で体内に水分を保持しやすくなる場合があるのです。
薬を服用し始めてから急に体重が増えたり、足や手がむくんだりした場合は、副作用の可能性も考えられます。ただし、自己判断で服薬を中止するのは危険なため、気になる症状がある場合は医師に相談しましょう。
合併症で全身の循環機能が低下する
糖尿病の合併症によって全身の循環機能が低下すると、むくみが現れる場合があります。
糖尿病は腎臓だけでなく、心臓や血管にも負担をかける病気です。心不全といった循環器疾患を合併すると、血液を全身へ十分に送り出せなくなり、水分が体内に滞留しやすくなります。
糖尿病の合併症は、足のむくみだけでなく、体重増加や息切れなどの症状をともなう場合もあるため、急激なむくみが現れた場合は、早めの受診が必要です。
関連記事:糖尿病のステージ別の症状|起こり得る合併症とそのサイン
むくみを招く糖尿病性腎症の進行度と症状

糖尿病性腎症は進行するにつれて腎機能が低下し、最終的にはむくみや腎不全などの重い症状を引き起こします。
- 糖尿病性腎症の悪化を防ぐためにも、以下で紹介する各段階の特徴を理解しておきましょう。
- 第1期(腎症前期):自覚症状がなく検査でのみ変化が見られる
- 第2期(早期腎症期):無症状のまま微量アルブミン尿が検出される
- 第3期(顕性腎症期):蛋白尿とともにむくみや高血圧が現れる
- 第4期(腎不全期):腎機能が著しく低下して貧血や強い倦怠感が生じる
- 第5期(透析期):尿毒症症状が現れて人工透析や移植が必要になる
ひとつずつ解説します。
第1期(腎症前期):自覚症状がなく検査でのみ変化が見られる
第1期は自覚症状がほとんどなく、検査でのみ異常が確認される段階です。糖尿病による高血糖の影響で腎臓には負担がかかり始めていますが、日常生活で異変を感じるケースはほとんどありません。
第1期は腎機能が比較的保たれているため、適切な血糖管理をおこなうと腎症の進行を抑えられる場合があります。自覚症状がないからこそ、定期的な尿検査や血液検査を受けるのが重要です。
第2期(早期腎症期):無症状のまま微量アルブミン尿が検出される
第2期になると、尿中に微量のアルブミンが漏れ出る場合があります。ただし、この段階でも自覚症状はほとんどなく、多くの場合は健康診断や定期検査で発見されます。
アルブミン尿は糖尿病性腎症の早期サインであり、放置すると腎機能の低下が進行する場合も。早期腎症期は治療効果が期待しやすい時期でもあるため、数値に異変がある場合は血糖値や血圧の管理を徹底するのが大切です。
第3期(顕性腎症期):蛋白尿とともにむくみや高血圧が現れる
第3期では蛋白尿が増加し、むくみや高血圧などの症状が現れ始めます。腎臓のろ過機能が低下するため、体内の余分な水分や塩分を十分に排出できなくなるのがむくみや高血圧が現れ始める原因です。
第3期は症状が目に見えて現れる時期であり、腎機能の悪化を防ぐためにより厳格な治療が必要です。
第4期(腎不全期):腎機能が著しく低下して貧血や強い倦怠感が生じる
第4期は腎機能が低下し、全身症状が目立つようになる段階です。老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなるため、むくみがさらに悪化しやすくなります。
また、腎臓で作られる造血ホルモンが不足するため貧血を起こしやすく、強い倦怠感や息切れを感じる場合もあります。
第4期は透析治療の必要性を検討し始める重要な時期です。
第5期(透析期):尿毒症症状が現れて人工透析や移植が必要になる
第5期は末期腎不全の状態であり、人工透析や腎移植が必要です。腎臓の機能がほとんど失われるため、老廃物や水分が体内に蓄積し、尿毒症を発症します。
尿毒症では食欲不振や吐き気、意識障害などの症状が現れる場合があり、生命に関わる危険な状態です。人工透析で血液を浄化しなければならず、日常生活にも影響をおよぼします。
糖尿病性腎症をここまで進行させないためにも、早期発見と継続的な治療が重要です。
関連記事:糖尿病のステージ別の症状|起こり得る合併症とそのサイン
糖尿病でむくむ方が医療機関を受診すべきタイミング
糖尿病を患っている方でむくみとともに以下の症状が現れている方は、早急に医療機関を受診してください。
- むくみが急激に悪化・拡大する
- 短期間で急激に体重が増加する
- 息切れや胸の苦しさをともなう
- 片方の足だけにむくみや痛みが出る
- 尿量の減少や強い泡立ちが見られる
- 数日経ってもむくみが改善しない
むくみは糖尿病性腎症や心不全、深部静脈血栓症など重篤な病気のサインである可能性もあるため、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く医師へ相談しましょう。
関連記事:糖尿病で足が痛む原因とは?痛み以外の症状や予防・治療法も紹介
糖尿病によるむくみを悪化させないポイント

糖尿病によるむくみを悪化させないためには、糖尿病の治療を継続しながら、むくみの変化を把握することが大切です。とくに糖尿病性腎症が関係している場合は、自己判断で水分や塩分を極端に制限するのではなく、医師の指示に従って管理しましょう。
以下では、糖尿病によるむくみを悪化させないポイントを紹介します。
- 糖尿病の治療を続け処方薬を正しく服用する
- 水分・塩分・食事の制限量は自己判断せず医師に確認する
- 体調や病状に合わせて適度に体を動かす
- 日々の体重とむくみの変化を記録する
ひとつずつ見ていきましょう。
糖尿病の治療を続け処方薬を正しく服用する
糖尿病の血糖コントロールが悪化すると、糖尿病性腎症を始めとする合併症につながるリスクがあります。そのため、処方された薬を自己判断で中断せず、医師の指示どおりに服用することが重要です。
糖尿病でむくむ場合は定期的に受診し、血糖値や腎機能などの状態を確認しながら治療を続けましょう。
水分・塩分・食事の制限量は自己判断せず医師に確認する
むくみがあるからといって、水分を極端に減らしたり、自己判断で厳しい食事制限をおこなったりするのは避けましょう。
糖尿病性腎症では、腎機能の状態によって適切な水分量や塩分量が異なります。必要な制限については、医師や管理栄養士に確認しましょう。
体調や病状に合わせて適度に体を動かす
無理のない範囲で歩いたり、座っているときに足首を動かしたりすることで、下肢の血流を促すことができます。
また、横になる際にクッションで足を少し高くするのもおすすめです。
ただし、腎臓や心臓の状態によっては運動が適さない場合もあるため、医師に相談しておこないましょう。
日々の体重とむくみの変化を記録する
毎日の体重やむくみの状態を記録しておくと、体調の変化を把握しやすくなります。たとえば、足の腫れや靴のきつさ、尿量の変化などを一緒に記録しておくと、受診時に医師へ伝えやすくなります。
短期間で体重が急増した場合やむくみが急に悪化した場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
糖尿病によるむくみは、糖尿病性腎症をはじめとする合併症が関係している場合があります。むくみを放置すると病気の進行に気づくのが遅れるおそれもあるため、血糖コントロールを続けながら、体重やむくみの変化を確認することが大切です。
また、水分や塩分の制限、運動量などは自己判断で変更せず、医師の指示に従いましょう。
糖尿病によるむくみや腎機能への影響が気になる方は、糖尿病の診療に対応しているれいめいクリニック浅草橋へご相談ください。

