
「糖尿病になると疲れやすくなる理由を知りたい」
「自分の疲れが糖尿病と関係している可能性や、受診を判断する目安を知りたい」
最近疲れやすい方のなかには、その原因が糖尿病ではないかと不安な方もいるのではないでしょうか。
疲れやすさは糖尿病の症状のひとつです。ただし、睡眠不足やストレスなどでも起こるため、疲労感だけで糖尿病とは判断できません。
本記事では、糖尿病で疲れやすい原因や受診目安を解説します。
疲れやすさ以外に現れる糖尿病の症状も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
1.糖尿病になると疲れやすくなる?
糖尿病になると、血糖値の上昇や血糖値を調節するインスリンの働きの低下などにより、疲れやすさを感じる場合があります。インスリンが十分に働かないと、血液中のブドウ糖を細胞がエネルギーとして利用しにくくなり、体がだるく感じられることがあるためです。
また、高血糖によって尿の量が増えると、体内の水分が失われて脱水状態になり、疲労感につながる可能性もあります。
ただし、疲れやすさは睡眠不足やストレス、ほかの病気などでも起こるため、疲労感だけで糖尿病とは判断できません。疲れやすい状態が続く場合や、喉の渇き・頻尿・体重減少などをともなう場合は、医療機関を受診して血糖値を確認しましょう。
2.糖尿病で疲れやすくなる理由

糖尿病で疲れやすくなる主な理由は、以下の5つです。
- 糖をエネルギーとして利用できない
- 尿の量が増えて脱水状態になる
- 血糖値が激しく上下動する
- 筋肉が落ちて疲れやすくなる
- 夜間のトイレで深く眠れない
ひとつずつ見ていきましょう。
2-1.糖をエネルギーとして利用できない
ブドウ糖は体を動かすための重要なエネルギー源ですが、うまく利用できないと、疲労感や倦怠感につながることがあります。
糖をうまく利用できなくなるのは、糖尿病により、インスリンの分泌量が不足したり、働きが低下したりして、血液中のブドウ糖を細胞が十分に取り込めなくなるのが原因です。
とくに、血糖値が高い状態が続いている場合は、疲れやすいため血糖管理が重要です。
2-2.尿の量が増えて脱水状態になる
体内の水分が不足すると、だるさや疲労感、集中力の低下などが起こる場合があります。糖尿病で血糖値が高くなると、余分なブドウ糖が尿に排出される際に水分も一緒に失われ、脱水状態になることがあるのです。
喉が渇く、尿の回数や量が増えるといった変化がみられる場合は、高血糖のサインかもしれません。水による水分補給を心がけるとともに、症状が続く場合は医療機関で血糖値を確認しましょう。
2-3.血糖値が激しく上下動する
血糖値が大きく変動すると、体調に影響し、疲れやすさやだるさを感じる場合があります。血糖値が高い状態だけでなく、糖尿病の治療薬などの影響で血糖値が下がりすぎた場合にも、体に不調があらわれることがあるのです。
とくに低血糖では、冷や汗や動悸、手の震え、強い空腹感などが起こることもあるため注意が必要です。疲れやすさに加えてこうした症状がみられる場合は、血糖値の変動や治療内容について主治医に相談しましょう。
2-4.筋肉が落ちて疲れやすくなる
筋肉量が減ると、歩行や階段の上り下りなど、日常的な動作でも疲れやすくなることがあります。糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、体がエネルギーを十分に利用できず、筋肉のたんぱく質が分解されやすくなるのが筋肉量の低下を招く原因です。
筋肉量を維持するには、血糖値を管理しながら、体調に合った運動とバランスのよい食事を続けることが重要です。急な体重減少や筋力低下がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
2-5.夜間のトイレで深く眠れない
糖尿病で血糖値が高くなると、尿の量が増え、夜間に何度もトイレに行きたくなるのも疲れやすくなる原因のひとつです。睡眠が途中で中断されると、十分な休息を取りにくくなり、翌朝の疲労感や日中の眠気につながります。
また、睡眠不足は血糖値のコントロールにも影響することがあります。夜間の頻尿が続く場合は、血糖値の状態やほかの原因を確認するため、主治医に相談しましょう。
3.疲れやすさ以外に現れる糖尿病の主な症状
糖尿病では、疲れやすさのほかにも以下のような症状が現れる場合があります。
- のどが渇く
- 尿の回数が増える
- 食べているのに体重が減る
ひとつずつ見ていきましょう。
3-1.のどが渇く
糖尿病で血糖値が高くなると、疲れやすさだけではなく、強いのどの渇きを感じることがあります。血液中の余分なブドウ糖を尿として排出する際に水分も失われ、体内の水分が不足しやすくなるためです。
水を飲んでもすぐにのどが渇く、以前より頻繁に水分を欲するなどの変化がみられる場合は、高血糖の可能性も考え、医療機関に相談しましょう。
3-2.尿の回数が増える
糖尿病では、疲れやすくなる以外にも、尿の回数や量が増えることがあります。血糖値が高くなると、腎臓が余分なブドウ糖を尿に排出しようとし、それにともなって水分も多く排出されると、尿の回数が増えます。
日中に何度もトイレに行くようになったり、夜間に尿意で目が覚めたりする場合は、糖尿病の症状のひとつかもしれません。ただし、頻尿はほかの病気でも起こるため、変化が続く場合は医療機関を受診しましょう。
3-3.食べているのに体重が減る
疲れやすさだけでなく、食事を普段どおりに取っているのに体重が減る場合、糖尿病が関係している可能性があります。
インスリンの働きが低下すると、ブドウ糖をエネルギーとして十分に利用できなくなり、体は不足するエネルギーを補うために脂肪や筋肉を分解することがあります。その結果、食欲があるにもかかわらず体重が減少する場合があるのです。
意図せず体重が減り続けている場合は、糖尿病以外の病気も考えられるため、早めに医療機関で検査を受けましょう。
関連記事:【医師監修】糖尿病の初期症状とは?放置するとどうなる?
4.糖尿病以外で疲れやすくなる原因

疲れやすさは、糖尿病だけでなくさまざまな原因で起こります。
以下では、糖尿病以外で疲れやすくなる原因を紹介します。
- 貧血
- 甲状腺疾患(甲状腺機能低下症)
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 肝臓・腎臓の病気
- 自律神経失調症・更年期障害
- うつ病・過度なストレス
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1.貧血
貧血になると、体のすみずみに酸素を運ぶ働きが低下し、疲れやすさや息切れ、めまいなどが現れることがあります。貧血は赤血球に含まれるヘモグロビンが減少し、筋肉や脳などに十分な酸素を届けにくくなります。
とくに、階段を上ったときに息切れする、顔色が悪い、動悸がするといった症状をともなう場合は注意が必要です。貧血には鉄不足や慢性的な出血など、さまざまな原因があるため、血液検査で原因を調べ、適切な治療を受けましょう。
4-2.甲状腺疾患(甲状腺機能低下症)
甲状腺機能低下症では、疲れやすさや強い眠気、むくみ、寒がりなどの症状が現れることがあります。甲状腺ホルモンは全身の代謝を調節する役割を担っており、分泌量が不足するとエネルギーの消費や体の働きが低下するのです。
十分に睡眠を取っても疲れが残る、以前より寒さを感じやすい、便秘や体重増加が続くといった変化がある場合は、甲状腺の病気も考えられます。血液検査で甲状腺ホルモンを確認できるため、気になる症状が続く場合は医療機関に相談しましょう。
4-3.睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりすることで、日中の疲労感や眠気を引き起こす病気です。呼吸の乱れによって睡眠が分断され、十分に休息を取れなくなるため、長時間寝ても疲れが取れない場合があります。
大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある、日中に強い眠気を感じるといった場合は注意が必要です。放置すると健康への影響が生じる可能性もあるため、気になる症状がある場合は睡眠外来や呼吸器内科などで相談しましょう。
4-4.肝臓・腎臓の病気
肝臓や腎臓の病気でも、疲れやすさや倦怠感が現れることがあります。
肝臓は栄養の代謝や有害物質の処理などを担い、腎臓は老廃物の排出や体内の水分・電解質の調節などに関わっています。これらの働きが低下すると、体内のバランスが乱れ、疲労感につながる場合があるのです。
むくみや食欲不振、吐き気、尿の変化、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状をともなう場合は、早めに医療機関を受診しましょう。初期には自覚症状が乏しいこともあるため、健康診断で異常を指摘された場合も放置しないことが大切です。
4-5.自律神経失調症・更年期障害
自律神経のバランスが乱れたり、更年期にともなうホルモンの変化が起こったりすると、疲れやすさや倦怠感が続く場合があります。自律神経は心拍や体温調節、睡眠などを調整しており、その働きが乱れると、頭痛やめまい、動悸、不眠などの不調が現れることがあるのです。
また、更年期には女性ホルモンの変動により、ほてりや発汗、気分の変化、睡眠の乱れなどが起こる場合もあります。症状には個人差があるため、自己判断せず、内科や婦人科などで相談しながら原因に合った対処を進めましょう。
4-6.うつ病・過度なストレス
うつ病や過度なストレスも、疲れやすさが続く原因のひとつです。精神的な負担が大きい状態が続くと、睡眠や食欲、集中力などに影響し、心身の疲労が回復しにくくなる場合があります。
うつ病では、疲労感に加えて、気分の落ち込みや興味・喜びの低下、不眠、食欲の変化などがみられることもあります。十分に休んでも疲れが取れず、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間程度続いている場合は、心療内科や精神科などへの相談を検討しましょう。
5.糖尿病のリスクを把握するためのセルフチェック

糖尿病のリスクを把握するには、自覚症状だけでなく、生活習慣や健康診断の結果も確認することが大切です。まずは、次の項目に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- のどが渇きやすく、水を飲む量が増えた
- 尿の回数や量が増えた
- 食事量が変わらないのに体重が減っている
- 疲れやすさやだるさが続いている
- 肥満傾向にある
- 運動する習慣があまりない
- 血縁者に糖尿病の人がいる
- 健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘されたことがある
当てはまる項目があるからといって、糖尿病と決まるわけではありません。ただし、血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合や、のどの渇き・頻尿・体重減少などの症状が続く場合は、医療機関で検査を受けましょう。
症状がなくても、定期的に健康診断を受け、自分の血糖値を把握しておくことが大切です。
関連記事:糖尿病になりやすい人の特徴とは?糖尿病を予防する方法7選
6.糖尿病を治療せずに放置するとどうなる?
糖尿病を治療せずに放置すると、高血糖が続き、血管や神経にダメージが蓄積して、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。代表的な合併症は、以下のとおりです。
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
- 糖尿病神経障害
進行すると視力の低下や腎不全、足の壊疽などにつながる場合があります。また、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。
糖尿病は初期には自覚症状が乏しい場合もあるため、疲れやすさなどの症状が軽くても注意が必要です。健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は放置せず、医療機関で検査や治療の相談をしましょう。
7.疲れやすいときに内科を受診する目安
疲れやすさが続く場合や、糖尿病を疑う症状がある場合は、内科を受診して原因を調べることが大切です。
ここでは、内科の受診を検討したい3つの目安を解説します。
- 疲れやすさが続いている場合
- 糖尿病を疑う症状がある場合
- 健康診断で血糖値やHbA1cが高い場合
ひとつずつ見ていきましょう
7-1.疲れやすさが続いている場合
十分に休んでも疲れが取れない状態が続く場合は、内科で相談しましょう。
慢性的な疲労感の背景には、糖尿病や貧血などの病気が隠れている可能性があります。また、睡眠不足やストレスが関係している場合もあるため、原因に応じた対応が必要です。
以前より疲れやすくなった、日常生活に支障が出ているといった変化がある場合は、受診時に症状が始まった時期や睡眠・食事の状況などを伝えると、原因を調べる手がかりになります。
7-2.糖尿病を疑う症状がある場合
疲れやすさに加えて、のどの渇きや尿の回数の増加、食べているのに体重が減るといった症状がある場合は、早めに内科を受診しましょう。これらは血糖値が高い状態が続くと現れることがある症状です。
ただし、糖尿病の初期には自覚症状がほとんどない場合もあり、症状の有無だけでは判断できません。気になる変化がある場合は血糖値などを検査し、必要に応じて治療を始めることが重要です。
強いだるさに加えて吐き気や腹痛などがある場合は、重い状態の可能性があるため、速やかに救急受診してください。
7-3.健康診断で血糖値やHbA1cが高い場合
健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘された場合は、自覚症状がなくても医療機関で詳しい検査を受けましょう。血糖値やHbA1cは糖尿病の診断に用いられる重要な指標であり、異常値を放置すると、気づかないうちに高血糖が続く可能性があります。
再検査や受診を勧められた場合は、結果を持参して内科に相談してください。早い段階で状態を把握し、食事や運動などの生活習慣の見直しや必要な治療につなげることで、合併症の予防や進行の抑制が期待できます。
8.糖尿病が疑われる場合におこなわれる検査
糖尿病が疑われる場合は、以下のような検査によって血糖値が高い状態が続いているかを確認します。
- 血糖値検査
- HbA1c検査
- 75g経口ブドウ糖負荷試験
- 尿検査
- 糖尿病合併症の初期スクリーニング
ひとつずつ紹介します。
8-1.血糖値検査
血糖値検査は、採血によって血液中のブドウ糖の濃度を調べる方法です。空腹時の血糖値や食事の時間にかかわらず測定する随時血糖値などを確認し、糖尿病が疑われるかを判断します。
血糖値は食事や運動などの影響を受けるため、測定するタイミングも重要です。一般的に、空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上の場合は、糖尿病型と判定されます。
8-2.HbA1c検査
HbA1c検査では、過去1〜2カ月程度の血糖値の状態を反映する指標を調べます。血糖値検査が測定時点の状態を示すのに対し、HbA1cは一定期間の血糖管理の状況を把握するのに役立つ指標です。
一般的に、HbA1cが6.5%以上の場合は糖尿病型と判定されます。ただし、HbA1cの値だけで診断が確定するとは限らず、血糖値などの結果と合わせて判断します。
貧血の影響で値が実際の血糖状態を正確に反映しない場合もあるため、検査結果は医師に確認することが大切です。
8-3.75g経口ブドウ糖負荷試験
75g経口ブドウ糖負荷試験は、ブドウ糖を含む検査用の液体を飲み、血糖値がどのように変化するかを調べる検査です。通常は空腹時に採血したあと、ブドウ糖液を飲み、一定時間後に再び採血して血糖値を測定します。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、空腹時血糖値だけでは判断が難しい場合に実施され、糖尿病の診断に役立ちます。検査前には食事や飲み物などについて指示があるため、医療機関の案内に従いましょう。
8-4.尿検査
尿検査では、尿に糖やたんぱく質が含まれていないかなどを確認します。血糖値が高くなると尿に糖が出る場合があり、尿糖は高血糖に気づくきっかけのひとつです。
また、尿たんぱくや尿アルブミンを調べることで、糖尿病による腎臓への影響を確認する場合もあります。
ただし、尿糖が陰性でも糖尿病を否定できず、尿糖だけで診断することもできません。血液検査と組み合わせて、糖尿病の有無や合併症のリスクを評価します。
8-5.糖尿病合併症の初期スクリーニング
糖尿病と診断された場合は、合併症を早期に発見するための検査も重要です。高血糖が続くと、目・腎臓・神経などに影響がおよぶことがあるためです。
眼底検査では糖尿病網膜症の有無を確認し、尿アルブミン検査や腎機能検査では腎臓への影響を調べます。また、足の感覚や反射、血流などを確認し、神経障害や血流障害の兆候を評価する場合もあります。
合併症は初期に自覚症状が乏しい場合もあるため、症状がなくても医師の指示に従って定期的に検査を受けましょう。
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9.疲れやすさを改善するために見直したい生活習慣

疲れやすさを改善するには、食事・運動・睡眠などの生活習慣を見直し、血糖値を適切に管理することが大切です。糖尿病が原因で疲労感が生じている場合、生活習慣の改善は血糖コントロールに役立ちます。
ただし、疲れやすさには貧血や甲状腺疾患など、ほかの病気が関係している可能性もあります。無理のない範囲で生活習慣を整えるとともに、疲労感が続く場合は医療機関で原因を確認しましょう。
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10.まとめ
糖尿病になると、ブドウ糖をエネルギーとして利用しにくくなったり、尿の量が増えて脱水状態になったりすることで、疲れやすさやだるさを感じる場合があります。ただし、疲れやすさは貧血や甲状腺疾患、睡眠不足、ストレスなど、糖尿病以外の原因でも起こります。
糖尿病は初期には自覚症状が乏しい場合もあるため、疲れやすさが続くときや、のどの渇き・頻尿・体重減少などの症状があるときは、医療機関で検査を受けましょう。健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合も、放置せずに医師へ相談することが大切です。
食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直しながら、必要な検査や治療につなげ、健康管理に取り組みましょう。糖尿病が疑われる症状や、健康診断で血糖値・HbA1cの異常を指摘された方は、お気軽にれいめいクリニック浅草橋へご相談ください。

