
「脂質異常症を改善するための具体的な方法を知りたい」
「LDLコレステロールや中性脂肪の数値を下げる方法を知りたい」
「薬を服用すべきか、生活習慣の改善だけで改善できるのか知りたい」
脂質異常症を改善をしたい方のなかには、上記のような考えをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
脂質異常症は、適切な治療や生活習慣の改善によって数値の改善が期待できる病気です。ただし、体質や原因によっては継続的な管理が必要になる場合もあります。
本記事では、脂質異常症を改善する方法を解説します。
脂質異常症の原因や放置するリスクも紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
1.脂質異常症とは?
脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪の値が基準から外れた状態が続く病気です。以前は高脂血症と呼ばれていましたが、悪玉コレステロール(LDL)が多い場合だけでなく、善玉コレステロール(HDL)が少ない場合も含めて脂質異常症と呼ぶようになりました。
脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、健康診断で初めて気づくケースが多い病気です。
1-1.脂質異常症の原因
脂質異常症の主な原因は、主に以下の9つです。
- 食生活が偏る
- 運動が不足する
- 喫煙習慣がある
- ストレスや睡眠不足など生活習慣の乱れが続く
- 女性ホルモンが減少する
- 加齢で代謝が低下する
- 生まれつきの体質が関与する
- 基礎疾患が隠れている
- 薬の副作用が影響する
複数の原因が重なって発症するケースも多いため、生活全体を見直す視点が重要です。
1-2.脂質異常症の診断基準
脂質異常症は、以下の基準に該当する場合に診断されます。
- LDLコレステロールが140mg/dL以上
- HDLコレステロールが40mg/dL未満
- 中性脂肪(トリグリセリド)が150mg/dL以上(随時採血では175mg/dL以上)
- Non-HDLコレステロールが170mg/dL以上
- 境界域Non-HDLコレステロールが150〜169mg/dL
上記のいずれかに当てはまる場合、脂質異常症の可能性があります。いずれか1つだけでなく、複数の項目が同時に基準を外れているケースも珍しくありません。
健康診断で異常を指摘された場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、食事や運動を数カ月続けても数値が改善しない場合や、LDLコレステロールや中性脂肪が著しく高い場合も医療機関の受診が必要です。
参考元:脂質異常症|厚生労働省
2.脂質異常症を改善する方法

脂質異常症を改善する方法は、以下の4つです。
- 食事管理
- 運動習慣
- 生活習慣
- 薬物療法
ひとつずつ解説します。
2-1.食事管理
食事管理は、脂質異常症の改善において最も基本です。毎日の食事内容を見直すと、LDLコレステロールや中性脂肪の値が改善しやすくなります。
何を控え、何を積極的に摂るべきかを正しく理解したうえで、無理なく継続できる食習慣を整えていきましょう。
以下で、脂質異常症の改善に必要な食事管理のポイントを紹介します。
- 動物性脂質の摂取を減らす
- 糖質の摂りすぎを抑える
- 良質な脂質とタンパク質を選ぶ
- 食物繊維を摂取する
- 節酒や禁酒を心がける
ひとつずつ見ていきましょう。
2-1-1.動物性脂質の摂取を減らす
動物性脂質を摂るのを意識して控えましょう。動物性脂質に多く含まれる飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを増加させる原因のひとつです。
動物性脂質には、以下のような食材があります。
- 牛肉・豚肉の脂身
- バター
- 生クリーム
- チーズ
脂質異常症を改善するためにも、調理に使う油は不飽和脂肪酸を多く含むオリーブオイルや菜種油に切り替えるのがおすすめです。
肉料理の頻度を抑え、代わりに魚や大豆製品を積極的に取り入れましょう。
2-1-2.糖質の摂りすぎを抑える
脂質異常症を改善するには、糖質を抑えるのも大切です。糖質を摂りすぎると、体内で余った糖が中性脂肪に変換されて血液中に増加します。
以下は糖質が多く、中性脂肪値を上げやすい食品の例です。
- 白ご飯や食パン
- 菓子パン
- 清涼飲料水
これらを完全にやめる必要はありませんが、1食あたりの量を普段の8割程度に減らすだけでも数値の改善につながります。白米を玄米や雑穀米に変えるなど、低GI食品への置き換えも有効な方法です。
2-1-3.良質な脂質とタンパク質を選ぶ
脂質異常症の改善には、脂質をすべて避けるのではなく質の良い脂質を選ぶのが重要です。
サバやサンマなどの青魚に含まれるEPAやDHAは、中性脂肪を下げる効果が高く、週2〜3回以上の摂取がおすすめです。
タンパク質は肉ではなく、魚や豆腐・納豆などの大豆製品から摂ると、LDLコレステロールの抑制が期待できます。
2-1-4.食物繊維を摂取する
脂質異常症を改善するためには、食物繊維を積極的に摂りましょう。食物繊維を十分に摂取すると、コレステロールの吸収を抑える効果が期待できます。
また、食物繊維は腸内でLDLコレステロールや胆汁酸と結びついて体外に排出する働きがあります。
以下は、食物繊維を多く含む食品です。
- 野菜
- きのこ
- 海藻
- 豆類
- 玄米
健康な体を維持するためにも、毎食1品以上はこれらの食品を取り入れましょう。
食物繊維の1日の目標摂取量は、以下のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
| 0~5カ月 | – | – |
| 6~11カ月 | – | – |
| 1~2歳 | – | – |
| 3~5歳 | 8以上 | 8以上 |
| 6~7歳 | 10以上 | 9以上 |
| 8~9歳 | 11以上 | 11以上 |
| 10~11歳 | 13以上 | 13以上 |
| 12~14歳 | 17以上 | 16以上 |
| 15~17歳 | 19以上 | 18以上 |
| 18~29歳 | 20以上 | 18以上 |
| 30~49歳 | 22以上 | 18以上 |
| 50~64歳 | 22以上 | 18以上 |
| 65~74歳 | 21以上 | 18以上 |
| 75歳以上 | 20以上 | 17以上 |
| 妊婦 | – | 18以上 |
| 授乳婦 | – | 18以上 |
参考元:日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省
食物繊維の食品を摂るのとあわせて、食物繊維の摂取量が目標値を上回るように気を遣うのが望ましいです。
2-1-5.節酒や禁酒を心がける
脂質異常症を改善するために、飲酒は控えましょう。アルコールは肝臓での中性脂肪の合成を促進するため、飲みすぎると中性脂肪値が上昇しやすくなります。毎日お酒を飲む習慣がある方や一度に大量に飲む方は、とくに注意が必要です。
脂質異常症を改善するために、休肝日を週2〜3日設ける、1回あたりの飲酒量をビール中瓶1本程度に抑えるなどの工夫から始めましょう。
参考元:脂質異常症の食事|厚生労働省
2-2.運動習慣
運動習慣は、脂質異常症の改善に欠かせない取り組みです。体を動かすと中性脂肪がエネルギーとして消費され、HDLコレステロールの増加も期待できます。
また、体重や内臓脂肪の減少にもつながるため、脂質代謝全体の改善に効果的です。
脂質異常症を改善するために、特別な運動でなくても、継続して体を動かす習慣を身につけましょう。
以下で、脂質異常症の改善に効果的な運動を紹介します。
- 有酸素運動を習慣にする
- 筋力トレーニングをおこなう
ひとつずつ見ていきましょう。
2-2-1.有酸素運動を習慣にする
有酸素運動は、中性脂肪を燃焼させてHDLコレステロールを増やすのに効果的な運動です。
有酸素運動をおこなうと、継続的に酸素を取り込みながら脂肪をエネルギーとして消費できます。
以下は、脂質異常症の改善につながる有酸素運動の例です。
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳
- サイクリング
目標は1日30分以上、週3〜5日の実施です。少し息が弾む程度の強度で続けるのがポイントです。30分を一度に確保できない場合は、10分ずつに分けて合計30分に達しても同様の効果が期待できます。
2-2-2.筋力トレーニングをおこなう
脂質異常症の改善には、筋力トレーニングも効果的です。筋力トレーニングは基礎代謝を高め、安静時でも脂肪が燃えやすい体質づくりに役立ちます。筋肉量が増えると、血中の脂質を消費する力が上がり、脂質異常症の改善効果がより高まります。
筋力トレーニングは、以下のように自宅でできる負荷の少ない筋トレから始めるのがおすすめです。
- スクワット
- 腹筋
- 腕立て伏せ
有酸素運動と筋トレを週3〜4回組み合わせるのが理想的で、両方を取り入れると相乗効果が期待できます。
2-3.生活習慣
生活習慣の見直しも、脂質異常症の改善に効果的な方法です。食事や運動だけでなく、日常のなかに潜む悪習慣を改めると、脂質の数値を整えやすくなります。
2-3-1.禁煙を徹底する
禁煙は、脂質異常症の改善に効果的な取り組みです。タバコに含まれる有害物質は血管を傷つけてHDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進するリスクがあります。
禁煙補助薬やニコチンパッチなどを活用すると、医師のサポートを受けながら無理なく禁煙に取り組みやすいです。
2-3-2.受動喫煙を回避する
他人のタバコの煙を吸い込む受動喫煙の回避は、自ら禁煙するのと同様に血液の健康を守るうえで大切です。煙に含まれる有害物質は少しの量でも血管を収縮させ、善玉コレステロールを減少させます。
脂質異常症を改善するためには、喫煙所の近くを避ける、禁煙エリアを選ぶなどの対策が効果的です。
2-3-3.適正体重を維持する
適正体重の維持は、脂質異常症の原因となる内臓脂肪を減らすうえで重要です。肥満になると中性脂肪が増えやすく、悪玉コレステロールの数値を上昇させる原因につながります。
毎日決まった時間に体重を測り、標準体重を目指して少しずつ生活を整えるのが、脂質のバランス改善に効果的です。
2-3-4.節酒を心がける
お酒の量を控える節酒は、中性脂肪の急激な増加を抑えるのに不可欠な習慣です。アルコールは肝臓で中性脂肪が作られるのを促すため、飲みすぎは脂質異常症を悪化させます。
週に数日はお酒を飲まない休肝日を作る、1日の適切な飲酒量を守るなどを心がけ、脂質異常症の改善につなげましょう。
2-3-5.十分な睡眠をとる
質の良い十分な睡眠をとるのも、脂質異常症の改善に効果的です。質の高い睡眠は、ホルモンバランスを整えて脂質の代謝を高める効果があります。
睡眠不足が続くと体内の食欲を高める物質が増え、過食や肥満を招きやすいです。
脂質異常症を改善するためには、毎晩決まった時間に就寝するリズムを作り、質の高い十分な睡眠を心がけましょう。
2-3-6.身体活動量を増やす
日常の身体活動量を増やすのは、特別な運動をしなくても効率よくエネルギーを消費できる方法です。座りっぱなしの時間を減らしてこまめに動くと、血液中の中性脂肪が消費しやすくなります。
エレベーターの代わりに階段を使う、一駅分歩くなどのちょっとした習慣が、脂質異常症の改善に効果的です。
2-4.薬物療法
薬物療法は、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合におこなわれます。
脂質異常症の種類や重症度に応じて、LDLコレステロールや中性脂肪を下げる薬が処方されます。薬によって動脈硬化の進行を抑え、心血管疾患の予防につなげるのが目的です。
治療効果を高めるためにも、生活習慣の改善と並行して取り組む必要があります。
2-4-1.医師に処方された薬を正しく服用する
脂質異常症を改善するには、処方された薬を自己判断で中止したり量を変えたりせず、医師の指示どおりに服用を続けてください。LDLコレステロールを下げるスタチン系の薬や、中性脂肪に効果的なフィブラート系の薬など、脂質異常症の種類によって使われる薬が異なります。症状がないからといって薬をやめると、数値が再び悪化するケースがほとんどです。
服用中に筋肉の痛みや脱力感などの異変を感じた場合は、すぐに医師へ相談してください。定期的な血液検査で効果と副作用を確認しながら、最適な治療を続けましょう。
3.脂質異常症を放置するリスク

脂質異常症を放置すると、命に関わるさまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。血液中に増えた脂質をそのままにしておくのは、血管が傷ついて硬くなる動脈硬化の原因です。
とくに中性脂肪の数値が著しく高い場合は、激しい腹痛をともなう急性膵炎(きゅうせいすいえん)を発症する危険性も存在します。
脂質異常症は、以下のような命に関わる病気を引き起こすリスクがあるため、十分な注意が必要です。
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 急性膵炎
脂質異常症は自覚症状が少ない病気だからこそ、早期から改善に取り組みましょう。
4.まとめ
脂質異常症は、食事や運動面の生活習慣の見直しや薬物療法などで数値の改善が期待できる病気です。しかし、自覚症状が少ないため放置されやすく、動脈硬化や心筋梗塞などの重大な病気につながるリスクがあります。
健康診断で異常を指摘された場合は早めに対策を始め、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
