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糖尿病でかゆみが起こる4つの原因 | かゆみが出やすい部位や予防法も解説

2025.12.18

「最近、足や背中がカサカサしてかゆい」「陰部のかゆみが治まらない」といったしつこいかゆみ、単なる乾燥肌やムレのせいだと思っていませんか?もしかすると、その症状は高血糖による糖尿病のサイン、あるいは合併症が進行している危険な警告かもしれません。

とくに足のかゆみは、放置すると潰瘍や壊疽につながる「糖尿病足病変」の入り口となる可能性があり、注意が必要です。 

そこでこの記事では、内科医が以下の内容を解説していきます。

  • 糖尿病で「かゆみ」が起こる4つの主な原因
  • 糖尿病のかゆみが出やすい部位と特徴
  • 糖尿病によるかゆみを放置するリスク
  • 糖尿病によるかゆみの予防と対策
  • 糖尿病によるかゆみを根本改善する方法

この記事を読むことで、糖尿病によるかゆみについての理解を深められます。ぜひ最後までご覧ください。

 

1.糖尿病で「かゆみ」が起こる4つの主な原因

糖尿病でかゆみが起こる原因は、主に以下の4つです。

  • 高血糖による脱水・皮膚の乾燥
  • 神経障害
  • 免疫力の低下による皮膚感染症
  • 腎機能障害による老廃物の蓄積

それぞれ解説します。

1-1.高血糖による脱水・皮膚の乾燥

高血糖の状態が続くと、体内の水分が失われる「脱水」が起き、皮膚が深刻な乾燥状態に陥ってかゆみを引き起こします。血液中の余分な糖分を尿と一緒に排出しようとするため、尿の量が増えて体から水分がどんどん逃げてしまうのが原因です。

結果として皮膚の潤いが不足し、外からの刺激を守るバリア機能が低下して、わずかな刺激でもかゆみを敏感に感じるようになります。また、高血糖は血流を悪化させて肌の新陳代謝を乱す原因にもなるため、水分を補給しても肌のカサつきが治まりにくいのが特徴です。

1-2.神経障害

糖尿病の合併症である「神経障害」も、かゆみを引き起こす原因となります。高血糖の状態が長く続くと、全身の神経、とくに手足の末梢神経がダメージを受けます。神経が傷つくと、汗をかく量の調節がうまくいかなくなり、皮膚が乾燥しやすくなるのです。

さらに、神経自体が異常な信号を出すようになり、実際には何も起きていないのに、「かゆい」「ピリピリする」「ジンジンする」といった刺激として感じてしまう場合があります。

1-3.免疫力の低下による皮膚感染症

高血糖によって免疫力が低下し、皮膚感染症にかかりやすくなるのも、かゆみの原因です。糖尿病の人は、体を守る白血球の働きが弱まりやすく、細菌や真菌(カビ)に対する抵抗力が落ちてしまいます。

とくに注意すべきなのが、皮膚や粘膜に常在しているカンジダという真菌です。免疫力が低下するとカンジダ菌が増殖しやすくなり、たとえば陰部や皮膚がこすれやすい場所で強いかゆみをともなう「カンジダ症」を発症しやすくなります。

1-4.腎機能障害による老廃物の蓄積

糖尿病の影響で腎臓の働きが低下すると、血液中の老廃物を外に出せず、それが皮膚を刺激してかゆみを引き起こします。

腎臓は血液をきれいにするフィルターのような役割ですが、この機能が壊れると体のゴミがどんどん溜まってしまいます。蓄積したゴミの成分などが皮膚にある神経を直接刺激するため、保湿をおこなってもなかなか解決しないのが厄介な点です。

全身に強いかゆみが広がるのは、腎臓からのSOSサインである可能性があるため注意が必要です。

 

2.冬は糖尿病によるかゆみがさらに出やすい

冬は、糖尿病によるかゆみがさらに出やすくなるため、とくに注意が必要です。

もともと糖尿病の人は皮膚が乾燥しやすい傾向にありますが、冬は空気が乾燥しているため、その症状が一段と悪化しやすくなります。皮膚の水分が失われてバリア機能が低下すると、衣服のこすれや暖房による乾燥など、わずかな刺激にも敏感に反応してかゆみが生じます。

また、冬は運動不足になりがちで血糖コントロールが乱れやすい季節でもあり、かゆみの悪化につながりやすいのです。

 

3.糖尿病のかゆみが出やすい部位と特徴

糖尿病のかゆみは、全身のどこにでも起こる可能性がありますが、とくに乾燥しやすい場所や、感染症を起こしやすい場所に出やすいという特徴があります。

部位によってかゆみが起こるメカニズムが異なるため、どこに症状が出ているかを正しく把握するのが適切な対処への第一歩です。以下で部位ごとに詳しく解説していきます。

3-1.陰部のかゆみ

陰部のかゆみは、糖尿病の方によく見られる症状の一つです。その多くは「カンジダ症」が原因です。

糖尿病によって免疫力が低下すると、カンジダという真菌(カビの一種)が増殖しやすくなります。さらに、高血糖の状態では尿にも糖が排出されるため、糖分を栄養源とするカンジダ菌が陰部でとくに繁殖しやすくなります。

その結果、陰部に赤みやただれ、そして我慢できないほどの強いかゆみを引き起こす場合があるのです。

3-2.足のかゆみ

足(とくに足先や足の裏)のかゆみは、糖尿病性神経障害の初期症状として現れる場合があります。高血糖によって足の末梢神経がダメージを受けると、皮膚の感覚に異常が生じ、「かゆみ」や「ピリピリとした痛み」「しびれ」として感じられるようになります。

また、神経障害の影響で汗をかきにくくなると、足の皮膚がひどく乾燥し、かゆみの原因にもなります。

足のかゆみは、より深刻な足病変の入り口にもなるため、とくに注意が必要です。

3-3.お腹や背中

お腹や背中は衣服の締め付けや摩擦による刺激を受けやすく、乾燥肌の糖尿病患者さんにとってはかゆみが強く出る場所です。

背中は手が届きにくいため保湿ケアを忘れがちになり、知らぬ間に乾燥が進んでかゆみの発信源となる場合が多いです。お腹周りは下着のゴムなどの圧迫によって、健康な時なら気にならない程度の刺激でも、過敏に反応して激しいかゆみを引き起こします。

広い範囲にかゆみが広がると夜も眠れないほどのストレスになるため、ムラなく保湿剤を塗って肌を保護しなければなりません。

4.糖尿病によるかゆみを放置するリスク

健康な人ならすぐに治る小さな傷でも、高血糖の状態では傷を治す力が弱まっているため、なかなか治りません。そのため糖尿病によるかゆみを放置することで、以下のようなリスクが生まれます。

  • 糖尿病性足病変
  • 皮膚潰瘍
  • 壊疽
  • 感覚麻痺による傷の発見遅れ

かゆみを単なる肌トラブルと考えず、体からの警告サインとして早めに対処するのが大切です。それぞれ解説していきます。

4-1.糖尿病性足病変

糖尿病性足病変とは、高い血糖値によって足の神経や血管が傷つき、足にさまざまなトラブルが起きる状態を指します。

神経がダメージを受けると痛みを感じにくくなり、血管が細くなると酸素や栄養が足先まで届きにくくなるのが原因です。その結果、水虫ができやすくなったり、タコやウオノメが悪化したりと、足の健康が著しく損なわれてしまいます。

これらはすべて、放置すると深刻な事態を招く入り口となるため、注意が必要です。

4-2.皮膚潰瘍

皮膚潰瘍とは、かゆくてかいた傷などが治らず、皮膚の深いところまでえぐれてしまった状態のことです。高血糖によって血の流れが悪くなっていると、傷を治すために必要な細胞がうまく運ばれず、穴がふさがらなくなるのが大きな理由となります。

さらに、血液中の糖分が多いとバイ菌が繁殖しやすいため、傷口から感染が広がってどんどん穴が深くなっていくのが特徴です。

一度潰瘍になると、入院して長い時間をかけた治療が必要になるケースも少なくありません。かゆみを抑えて肌を傷つけないように心がけるのが、潰瘍を防ぐことに繋がります。

4-3.壊疽

壊疽は糖尿病の合併症のなかでもとくに恐ろしく、皮膚や筋肉の組織が死んでしまい、真っ黒に変色してしまう状態のことです。感染症がひどくなったり、血の流れが完全に止まってしまったりと、栄養が届かなくなるのが原因で起こる現象です。

壊疽が進行すると、腐った部分から毒素が体中に回るのを防ぐため、足の指や足首から先を切断しなければならない場合があります。一度失った足は二度と元には戻らないため、人生が大きく変わってしまう重い病気といえるでしょう。

4-4.感覚麻痺による傷の発見遅れ

糖尿病による神経障害が進むと、痛みを感じる感覚が麻痺してしまうため、大きな傷に気づきにくくなります。

通常であれば傷ができると強い痛みを感じますが、感覚が鈍っていると靴擦れや火傷をしていてもまったく痛みを感じにくくなります。そのため、お風呂に入った際に初めて出血に気づいたり、靴下の汚れを見て驚いたりするケースも珍しくありません。

傷の発見が遅れると、その間に菌が体の奥深くまで入り込み、気づいたときには手遅れに近い状態になっている場合があります。痛みという「体を守るための反応」が働かないからこそ、毎日自分の目で足元を確認することが不可欠です。

 

5.糖尿病によるかゆみの予防と対策

糖尿病によるしつこいかゆみを防いだり、今ある症状を抑えたりするためには、肌を健康な状態に保つセルフケアが欠かせません。数ある方法のなかでも、とくに取り組んでいただきたい対処法を、以下の4つに分けてご紹介します。

  • 保湿を徹底する
  • 肌を清潔に保つ
  • 刺激の少ない下着・衣類を選ぶ
  • フットケアを習慣にする

今日からすぐに始められるこれらのおこないを通じて、つらいかゆみを少しずつ和らげていきましょう。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

5-1.保湿を徹底する

糖尿病によるかゆみを抑える最も基本的な対処法は、保湿剤を使って皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を守ることです。

糖尿病の人は高血糖の影響で皮膚が乾燥し、バリア機能が低下しているため、外部からのわずかな刺激でもかゆみを感じやすくなっています。入浴後はとくに水分が蒸発しやすいため、肌がまだ湿っているうちに、ヘパリン類似物質や尿素、セラミドなどが配合された保湿クリームやローションを全身に塗りましょう。

とくに乾燥しやすいすねや背中、足などは念入りに保湿するのが効果的です。

5-2.肌を清潔に保つ

肌を清潔に保つことは、かゆみの原因となる細菌や真菌の増殖を防ぐために重要です。とくに糖尿病の人は免疫力が低下し、カンジダ症などの皮膚感染症にかかりやすくなっています。

ただし、洗いすぎは逆効果です。ナイロンタオルなどでゴシゴシこすると、皮膚のバリア機能が壊れてさらに乾燥とかゆみが悪化します。石鹸やボディソープをよく泡立て、手のひらで優しく洗い、ぬるま湯でしっかりとすすぎ流しましょう。

入浴後はすぐに保湿するのも忘れないでください。

5-3.刺激の少ない下着・衣類を選ぶ

肌への刺激を減らすために、刺激の少ない下着や衣類を選ぶことも、かゆみ対策として有効です。チクチクするウール素材や、汗を吸いにくい化学繊維は、皮膚への刺激となりかゆみを誘発しやすくなります。

肌に直接触れる下着や衣類は、吸湿性・通気性に優れた綿100%やシルクなどの天然素材がおすすめです。また、体を締め付けるきつい下着やズボンは、摩擦によってかゆみを引き起こす原因になるため、ゆったりとしたデザインを選びましょう。

5-4.フットケアを習慣にする

足病変を予防する最も効果的で重要な方法は、毎日ご自身の足を観察し、清潔と保湿を保つ「フットケア」を習慣にすることです。

具体的には、毎晩お風呂の際に、足の指の間や足の裏まで石鹸で優しく洗い、よく乾かします。その後、足全体(とくに乾燥しやすいかかと)に保湿クリームを塗りましょう。また、入浴後には足に傷やタコ、色の変化がないか、鏡も使って隅々までチェックしてください。

爪は深爪を避け、まっすぐ切るのが基本です。

 

6.糖尿病によるかゆみの根本改善には「血糖値コントロール」が不可欠

かゆみを根本的に改善するためには、皮膚のケアだけでは不十分であり、「血糖値コントロール」が不可欠です。

かゆみの根本的な原因は、高血糖による乾燥、神経障害、免疫力の低下にあります。したがって、血糖値を良好な状態に安定させることが、かゆみの予防と改善につながる最も重要な治療となるのです。

詳しく解説していきます。

6-1.皮膚科の薬は「対症療法」でしかない

皮膚科で処方されるかゆみ止めの塗り薬や抗ヒスタミン薬は、あくまで今あるつらいかゆみや炎症を一時的に抑える「対症療法」でしかありません。

もちろん、かゆみが強くて眠れないときや、かき壊しを防ぐためにこれらの薬を使うのは非常に重要です。しかし、薬を塗ってもかゆみが繰り返し再発する場合は、かゆみの根本的な原因である「高血糖」そのものが改善されていない可能性が高いです。

薬だけに頼らず、根本原因の治療にも目を向ける必要があります。

6-2.血糖値を安定させることが、かゆみ予防の第一歩

血糖値を良好な状態で安定させることが、糖尿病によるかゆみを予防・改善するための第一歩です。

血糖値が高い状態が続くと、皮膚の乾燥や神経障害、免疫力の低下が進み、かゆみが起きやすい体質になってしまいます。反対に血糖コントロールがうまくいくと、皮膚の水分量が改善し、神経へのダメージが抑えられ、免疫力も正常に近づきます。その結果、皮膚のバリア機能が回復し、乾燥や外部からの刺激によるかゆみが起こりにくくなるのです。

つらいかゆみから解放されるためにも、血糖管理が重要です。

6-3.食事療法・運動療法を見直す

血糖値を安定させるためには、日々の食事療法と運動療法を見直すのが基本です。食事については、1日3食を規則正しく食べ、野菜から先に食べることを心がけ、糖質や脂質の多い食事を避けるようにしてください。

運動療法としては、ウォーキングなどの有酸素運動を週に150分程度おこなうようにしましょう。運動は、血液中のブドウ糖を消費して血糖値を下げる直接的な効果が期待できます。

主治医や管理栄養士と相談しながら、ご自身の生活スタイルに合った方法で継続してください。

 

7.かゆみ以外にこんな症状が出たらすぐに病院へ

かゆみ以外にも、糖尿病の悪化や重篤な合併症を示すいくつかの危険なサインがあり、以下の症状が出たらすぐに皮膚科や糖尿病内科を受診する必要があります。

  • 全身性の強いかゆみが出てきた
  • ゆみだけでなく「痛み」や「しびれ」がある
  • 水ぶくれや化膿、ジュクジュクしている

詳しく解説します。

7-1.全身性の強いかゆみが出てきた

しつこいかゆみや、これまでと違う全身性の強いかゆみが出てきた場合、それは血糖コントロールが悪化しているサインや、神経障害・腎症といった合併症の初期症状である可能性があります。

かゆみは単なる皮膚の乾燥だけが原因とは限りません。たとえば、糖尿病性腎症が進行して腎臓の機能が低下すると、体内に老廃物が溜まり、それが原因で皮膚に耐え難いかゆみを引き起こす場合があります。

7-2.かゆみだけでなく「痛み」や「しびれ」がある

かゆみに加えて、足先に「ジンジンする痛み」や「ピリピリするしびれ」、「感覚が鈍い」といった症状がある場合は、糖尿病性神経障害が進行しているサインです。これらは神経がダメージを受けている典型的な症状であり、とくに夜間や安静時に症状が強くなる特徴があります。

神経障害が進むと、ケガや火傷に気づかない危険性が高まります。その結果、足病変へと進行するリスクが格段に上がるため、すぐに主治医に症状を伝える必要が出てきてしまうのです。

7-3.水ぶくれや化膿、ジュクジュクしている

かゆい部分を掻きむしったことで水ぶくれができたり、赤く腫れて熱を持ったり、膿が出てジュクジュクしたりしている場合は、細菌感染を起こしているため直ちに医療機関の受診が必要です。

糖尿病の人は免疫力が低下しているため、小さな傷からでも細菌が入りやすく、急速に感染が広がる危険があります。

とくに足にこれらの症状が出た場合は、潰瘍や壊疽の入り口です。市販の薬で様子を見るのではなく、すぐに皮膚科や整形外科を受診してください。

 

8.まとめ

この記事では、糖尿病によるかゆみの原因から保湿などの対処法まで詳しく解説しました。

かゆみは高血糖による乾燥、神経障害、免疫力低下が原因で起こります。保湿や皮膚科の薬はあくまで対症療法であり、根本的な改善には血糖値コントロールが不可欠です。とくに「足のかゆみ」や「感覚の鈍化」は足病変の初期サインかもしれず、絶対に放置してはいけません。

もし、かゆみだけでなく痛みや水ぶくれが出ている場合は、自己判断せず、すぐに主治医や皮膚科を受診してください。

浅草橋西口クリニックMoでは、糖尿病をはじめとしたさまざまな疾患に対しての診療をおこなっています。「糖尿病で生活が変化しないか不安」「早いうちから糖尿病を予防したい」などのお悩みがある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

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