「糖尿病で爪に異変が出るって本当?」「糖尿病で爪にどんな変化があるの?」という疑問を持ったことはありませんか?
糖尿病は血管を細くし末端部分への血流を不足させ、手足の爪に影響を及ぼす場合があります。そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
- 糖尿病の症状として爪に変化があらわれる理由
- 糖尿病で足・爪にあらわれる症状の種類
- 爪の色・形に変化が見られたら初期症状かも
- 糖尿病の初期症状を見逃さないために足・爪のどこを観察すべき?
- 爪に糖尿病の症状があらわれたら意識すべきこと
この記事を読むことで、糖尿病と爪の関係を一から十まで理解することが可能です。ぜひ最後までご覧ください。
1.糖尿病の症状は爪にもあらわれる
糖尿病は、血糖値が異常に高くなる代謝性の疾患です。インスリンの作用不足や効果の低下により、体内でのブドウ糖の活用がうまくいかず、血液中のブドウ糖濃度が正常よりも高い状態が続きます。
そして、糖尿病の症状として爪に変化があらわれる場合があります。
1-1.糖尿病により血流が悪化し爪に症状が出る
糖尿病による高血糖は、血管を細くし体の末端部分への血流が不足します。この影響は特に足の爪などの末梢部に顕著にあらわれます。そして、糖尿病を持つ人のなかで神経障害がある場合、足の爪に異常をきたしこれが重症化するリスクを高めるんです。
爪の状態は全体の健康状態を反映するため、定期的に足の爪をチェックし、その健康状態を把握することで、糖尿病だけでなく他の健康問題にも早期に気づけます。
1-2.手よりも足の爪に症状が出やすい
糖尿病患者では、足の末端にある血管が特に狭くなりやすく、血液や酸素の流れを妨げます。その結果、手よりも足で循環障害や栄養不足が生じやすくなり、傷の治癒力が低下。よって、糖尿病の症状は足の爪に出やすいとされています。
1-3.糖尿病の症状が進むと爪が潰瘍を起こす
糖尿病患者は血流障害により、小さな傷や感染が治りにくく、潰瘍(かいよう)が発生しやすくなります。糖尿病が原因で足に発生する潰瘍は「糖尿病性足潰瘍」と呼ばれ、放置すると壊(えそ)に進行し、最終的には下肢の切断が必要になる場合も。
重大な合併症を避けるためにも、糖尿病の早期発見と、それに伴う適切な管理・治療が非常に重要です。
2.糖尿病で足・爪にあらわれる症状の種類
糖尿病によって足・爪にあらわれる症状について、以下の5つを解説していきます。
- 巻き爪や陥入爪
- 爪白癬
- 爪肥厚
- 胼胝
- 足の変形
2-1.足・爪にあわれれる症状①巻き爪(まきづめ)や陥入爪(かんにゅうそう)
巻き爪とは、爪が曲がり内側に丸まる現象で、陥入爪は爪が肌に食い込み、炎症を引き起こす状態のことです。糖尿病患者では、栄養不足により爪が正しく成長せず、巻き爪が発生しやすくなります。
巻き爪の原因となる深爪を避けるためにも、爪は皮膚を傷つけずに直線的に切り、角を適切に整えてください。また、足に合わない靴や狭い先の靴を避け、適切なサイズの靴を選ぶようにしましょう。
2-2.足・爪にあわれれる症状②爪白癬(つめはくせん)
爪白癬は、白癬菌による感染症で、一般に水虫として知られています。糖尿病患者は、神経障害や血流不良により皮膚が弱り、感染症にかかりやすくなります。
水虫は糖尿病患者にとって悪化しやすく、場合によっては壊疽を引き起こすリスクもあります。そのため、定期的なフットケアで爪白癬の有無を確認し、足を清潔に保つことが重要です。通気性の良い靴下の使用や、帰宅後の足洗いを習慣化し、特に夏は靴内の蒸れに注意しましょう。温泉やサウナなど、素足になる場所は避けることが推奨されます。
2-3.足・爪にあわれれる症状③爪肥厚(ひこうそう)
爪肥厚は爪が異常に厚くなる状態を指し、これにより爪が割れやすくなったり、化膿のリスクが高まったりします。糖尿病患者は免疫力の低下もあり、爪白癬(水虫)に対して特に注意が必要です。
2-4.足・爪にあわれれる症状④胼胝(べんち)
胼胝は、足への圧迫や摩擦が原因で皮膚が固くなる状態です。この胼胝が継続的に圧迫や摩擦を受けると、最終的には潰瘍に進行する恐れがあります。そのため、胼胝ができた場合は、定期的に専門の医療機関で削除または除去しなければなりません。
糖尿病患者は、小さな傷でも治りにくいため、特に胼胝の処置には慎重さが求められます。自己処理を避け、医師の診断を受けてください。また、足にフィットする靴を選ぶなど日常生活での注意も大切です。
2-5.足・爪にあわれれる症状⑤足の変形
糖尿病によって爪に段差ができたり、足の指の曲がり・足裏の歪みが出たりする糖尿病の一般的な症状です。足の細かな筋肉や腱の弱化により、不適切な靴の履や過度な爪のカット、不良な立ち姿勢など日常生活のささいな要因が傷の原因となり得ます。
これらの変形は、足への負担を増やし、傷や感染のリスクを高めるため、適切なフットケアと足への配慮が必要になります。
関連記事:糖尿病で足が痛む原因とは?痛み以外の症状や予防・治療法も紹介
3.爪の変化や症状と関係のある糖尿病の合併症
糖尿病による爪の変化や症状は、神経障害や血流障害などの合併症が関係している可能性があります。とくに足の爪に異常がある場合、単なる爪のトラブルと考えず、糖尿病の合併症が隠れていないか確認することが大切です。
ここでは、爪の症状と関連する主な合併症について解説します。
- 神経障害
- 血流障害
- 足の潰瘍・壊疽(えそ)
ひとつずつ見ていきましょう。
3-1.神経障害
糖尿病による神経障害が進行すると、足先の感覚が鈍くなり、爪の異常や小さな傷に気づきにくくなる場合があります。痛みを感じにくくなることで、靴ずれや爪の周囲の傷を放置し、感染症につながることもあります。
爪の変化だけでなく、足のしびれや感覚の低下などがある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
3-2.血流障害
糖尿病では動脈硬化が進み、足先の血流が悪くなることがあります。血流が不足すると、爪に必要な酸素や栄養が十分に届かなくなり、爪が厚くなったり、伸びにくくなったりする場合があるため注意が必要です。
爪の変化とともに、足先の冷えや皮膚の色の変化などをともなう場合は、血流障害が疑われます。
3-3.足の潰瘍・壊疽(えそ)
神経障害や血流障害が重なると、足にできた傷が治りにくくなり、潰瘍や壊疽(えそ)につながることがあります。足の爪が直接の原因になるわけではありませんが、爪の周囲の傷や炎症をきっかけに症状が悪化する可能性も。
爪や足に傷、腫れ、変色などの異常がある場合は、自己判断で放置せず医療機関を受診しましょう。
4.糖尿病の症状が爪にあらわれる理由
ここでは、糖尿病によって爪に症状があらわれる主な理由を解説します。
- 高血糖による血流の悪化で爪に栄養が届きにくくなる
- 免疫力の低下で水虫や細菌による感染症にかかりやすくなる
- 神経障害によって爪の違和感や傷に気づきにくくなる
- 糖化によって爪の成分が変化し、変色しやすくなる
- 乾燥や爪の生まれ変わりの低下で爪が変形・厚くなる
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1.高血糖による血流の悪化で爪に栄養が届きにくくなる
高血糖による血流の悪化は、爪の成長や状態に影響を与える原因のひとつです。
高血糖の状態が長く続くと血管が傷つき、動脈硬化が進行することで血流が悪化しやすくなります。爪は根元にある爪母(そうぼ)でつくられるため、血流が悪くなると酸素や栄養が十分に届きにくくなります。その結果、爪の成長が遅くなったり、厚くなったり、色が変化したりする場合があるのです。
4-2.免疫力の低下で水虫や細菌による感染症にかかりやすくなる
糖尿病による免疫機能の低下は、水虫や細菌による感染症を起こしやすくする原因です。高血糖の状態が続くと免疫機能が低下し、感染症への抵抗力が弱くなることがあるため、水虫や細菌感染を起こしやすくなります。
足は靴や靴下によって蒸れやすく、水虫の原因となる白癬菌が繁殖しやすい場所です。爪に水虫が感染すると、爪が白や黄色に変色したり、厚くなったり、もろくなったりすることがあるため注意が必要です。
4-3.神経障害によって爪の違和感や傷に気づきにくくなる
糖尿病による神経障害は、爪や足に生じた異常を見逃しやすくする原因です。神経障害が進行すると足先の感覚が鈍くなり、靴による圧迫や靴ずれ、爪の食い込みなどが起きても気づきにくくなる場合があります。
傷や炎症を放置すると、感染症につながる可能性もあるため、痛みや違和感がなくても、日ごろから足や爪の状態を確認することが大切です。
4-4.糖化によって爪の成分が変化し、変色しやすくなる
糖化は、爪の変色などの状態変化に関係する場合があります。
高血糖の状態が続くと、余分な糖が体内のタンパク質などと結びつく糖化が起こりやすくなります。爪は主にケラチンというタンパク質で構成されているため、糖化による影響を受けて変色する場合もあるのです。
ただし、爪の変色には水虫や外傷などさまざまな原因があるため、変色があるからといって糖尿病が原因とは限りません。
4-5.乾燥や爪の生まれ変わりの低下で爪が変形・厚くなる
乾燥や爪の成長速度の低下は、爪が厚くなったり変形したりする原因になる場合があります。糖尿病では血流の悪化などによって爪に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、爪の成長が遅くなることがあります。
また、足の皮膚が乾燥すると爪の周囲も傷つきやすくなるため、足や爪を清潔に保ち、乾燥している部分には保湿剤を使用するなど、日ごろから適切にケアすることが重要です。
5.初期症状を見逃さない!足・爪のどこを観察すべき?
足と爪の健康状態をチェックする際の重要なポイントは以下のとおりです。
- 爪が内側に巻いていないか、いわゆる巻き爪の状態になっているか
- 爪の色が変わったり、形が変形していないか
- 爪に亀裂や割れ、筋が生じていないか
- 爪が指の肉に食い込んで炎症を起こしていないか
- 足の皮膚が異常に乾燥していたり、かゆみやヒビ割れがあるか
- 圧迫や摩擦によって硬い皮膚の塊、胼胝ができていないか
上記の変化に気づくためにも、自分が健康なときに爪がどのような状態かを把握しておきましょう。異常を早期に発見するためにも、日頃から爪の色や形状・厚さなどに注意を払い、変化に気づいたら早めに対処するようにしましょう。
6.爪に糖尿病の症状があらわれたら意識すべきこと
爪に糖尿病を疑う症状があらわれたら、以下7つのことを意識してください。
- 主治医や皮膚科・フットケア外来を受診する
- 爪切りによる深爪に注意する
- 血糖値をコントロールする
- 足の清潔を保つ
- 通気性の良い靴下を履く
- 足の形に合った靴を履く
- 歩き方を改善する
一つずつ解説していきます。
6-1.主治医や皮膚科・フットケア外来を受診する
爪に異常がみられた場合は、まず主治医に相談し、必要に応じて皮膚科やフットケア外来を受診しましょう。爪の変色や厚み、変形などの原因を調べてもらうことで、糖尿病の合併症や水虫などの感染症を早期に発見できる場合があります。
とくに、爪の周囲に赤みや腫れ、傷、出血、膿などがある場合は、早めの受診が重要です。
6-2.爪切りによる深爪に注意する
爪を切る際は、まず爪を四角形に切り、次に角が丸まるようスクエアオフ形状を作ってください。爪の長さは指の先端と揃えるのが理想です。
糖尿病患者は特に深爪を避けるようにしましょう。深爪は巻き爪の原因になり、皮膚に食い込んで傷を作り、感染のリスクを高めます。糖尿病患者は傷が治りにくいため、小さな傷でも簡単に悪化することがあります。そのため、爪が厚くなったり巻き爪の問題があたりする場合、自分で無理に切るのではなく、医療機関での適切な処置を受けるのも一つの手段です。自己処理を避け、専門のケアを受けるようにしてください。
6-3.血糖値をコントロールする
糖尿病は発見が遅れがちな病気ですが、爪の見た目の変化を通じて早期に異常に気づけます。
爪の変色や形の異常に気付いた場合は、速やかに糖尿病の検査を受けるようにしてください。糖尿病の診断は血液検査により一般的な内科で簡単におこなえます。早期発見と治療によって、病状の進行を遅らせることが可能です。
6-4.足の清潔を保つ
糖尿病による血流や神経の異常は、感染症のリスクを高めます。そのため足を清潔に保ち、感染予防をすることが大切です。
足の指の間や足裏は、柔らかいスポンジを使用して丁寧に洗ってください。保湿は皮膚の乾燥を防ぐためにも大切で、保湿クリームやネイルオイルを使うのがおすすめです。また、神経障害により温度感覚が鈍くなっている場合があるため、お風呂の際は手で水温を確認しましょう。
6-5.通気性の良い靴下を履く
素足で過ごすと怪我のリスクが高まるため、足を保護するために靴下を着用しましょう。また、湿気による水虫のリスクを避けるため、ウールや綿などの通気性に優れた素材の靴下を選んでください。足にフィットし、締め付け感のない快適な靴下を選ぶのがおすすめです。
また、白い靴下は出血があった場合に気づきやすいです。靴下が濡れた場合には速やかに乾燥させ、常に清潔な状態を維持するよう心がけましょう。
6-6.足の形に合った靴を履く
足と靴が合っていないと、過度な圧迫や靴擦れの原因となります。足の指が圧迫されないデザインを選び、ハイヒールのように体重のバランスが偏る靴は避けるべきです。
また、靴を選ぶタイミングは夕方ごろがおすすめ。日中は足が浮腫むため、夕方に靴を試着し選ぶと良いです。
6-7.歩き方を改善する
巻き爪の原因の一つに、歩き方の問題があります。正しい歩行は、かかとから着地し、重心を移動させ、つま先で地面を蹴る方法です。その際足の指に適切に力を入れることが、巻き爪の予防につながります。
重心がかかとに偏っていたり、靴の中で足の指が浮く「浮き指」状態になると、足の指に力が入らず、巻き爪を促進する可能性も。歩行方法は癖として根付いているため、すぐに矯正するのは難しいかもしれませんが、意識を変えて少しずつ改善していくことが大切です。
7.糖尿病の方は血糖値をコントロールしよう
糖尿病と診断された方は、血糖値のコントロールも大切です。以下の3点を意識してください。
- 規則正しい生活を送る
- 禁煙する
- ストレスをコントロールする
7-1.規則正しい生活を送る
健康的な食事・運動は、糖尿病管理の基礎として多くの医療機関で推奨されています。明確な食事制限があるわけではありませんが、血糖値を急激に上げない食事選びが重要です。また、軽度の運動でも食後の血糖値を下げる効果があるため、無理のない範囲で運動を取り入れることが望ましいです。
糖尿病の方の食事については、糖尿病の方が食べてはいけないものはある?食事の注意点も徹底解説の記事をご覧ください。
7-2.禁煙する
糖尿病を煩いながら喫煙すると、動脈硬化や網膜症・神経障害・足の問題など、様々な合併症のリスクが高まります。また、過度のアルコール摂取は血糖コントロールを困難にします。適量のアルコール摂取は問題ありませんが、タバコは吸わず禁煙をすべきです。
7-3.ストレスをコントロールする
ストレスは血糖値が高まる原因として知られています。血糖値をコントロールするための過度な食事制限や苦手な運動によってストレスが溜まり、逆に糖尿病の管理を難しくしている場もあるため注意が必要です。
また、これまで食事によってストレスを解消していた人は、新たなストレス解消法を見つける必要があります。健康的にストレスを解消できるよう、新たな趣味や好きなスポーツなどを見つけてみてください。
関連記事:糖尿病の治し方はある?糖尿病と診断された場合の管理方法を解説
8.まとめ
糖尿病の症状は、手・足の爪に出ることがあります。糖尿病による高血糖は、血管を細くし体の末端部分である手足の爪に対する血流を減らすためです。
また、糖尿病の方は足先の血管が細くなりやすいため、足の爪に症状が出ることが一般的です。そのため、健康な状態の爪をよく観察しておき、すぐに異変に気付けるようにしておくのが、糖尿病の早期発見に繋がります。
れいめいクリニック浅草橋では、糖尿病に関するご相談を随時受け付けております。糖尿病でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。

